初めての産婦人科で見せてもらった映像に写っていたのは、小さな小さな点で、それは、新しく宿った命でした。

私は、その時の感動を生涯忘れないと思います。

結婚をして数ヶ月も経たないうちに、私は新しい命を授かりました。

ただただ嬉しく、主人や家族と喜び、気が早いながらも赤ちゃんの名前を考えるなどしていました。しかし、次第に、大きな怪我や病気をしたことのない私が、体の大きな変化に随分と苦しめられるようになりました。

まず、辛かったのはつわりです。一日中胸がムカムカする気分が続き、何かを食べていたら吐き出してしまうし、食べなくても気持ち悪くて仕方ないということが続きました。

元々は食べるのが大好きということもあり、好物を食べても吐き出してしまうことが悲しく、トイレで泣くこともありました。

結婚を機に仕事を辞めていたので、辛い時は横になって休めましたが、仕事をしていたら耐えられなかったと思います。

主人のために食事は作っていましたが、つわりがひどいので同じものを食べることもできず、唯一口にすることのできたジャンクフードをひたすら食べていました。

つわりは、妊娠初期にひどく、中期以降もたまに苦しめられました。未だに、つわりの時に嗅いだ匂いを嗅いだり、つわりの時に聞いていた音楽を聞くと、気持ちが悪くなってしまいます。

次に、妊娠性痒疹に苦しめられました。

これは、顔や身体に湿疹がでて、更に眠れないほど痒くなるという症状です。つわりが落ち着いたと思ったら、今度は外見がボロボロになっていきました。

ニキビなどできたことのない部分にできものが浮かび上がり、元々使っていた基礎化粧品などを使うと皮膚の症状はますます悪化し、皮膚科に通うようになりました。

お腹にもたくさんのできものが出来ていて皮膚科のお薬を優先的に塗っていたので、妊娠線用のクリームなども塗ることができず、今では見事にお腹にくっきりと妊娠線ができています。

妊娠性痒疹は、出産後徐々に薄くなってきて、痒みもなくなりました。

そして、夜に何度も目が覚めてしまうことにも苦しめられました。

赤ちゃんを育てるための準備として女性ホルモンが変化し、寝不足になるのは仕方ないこととはいえ、妊娠での疲労がなかなか取れないのは心身ともに大きな負担でした。

普段は頭痛などない自分が常に頭に痛みを感じ、眠れないことで意識がぼんやりとすることがよくありました。

まるで、きちんと母親になれるかを判定する試練を与えられているかのように、心身共にたくさんの変化がありました。

それに苦しみながらも、病院のエコーで少しずつ大きくなっていく赤ちゃんの姿を見たり、聞こえるようになった心臓の音を聞いたり、赤ちゃんが動いているのがわかるお腹を触ったりすると、愛しさで辛い気持ちは和らぎました。

また、主人が理解してくれて常に支えてくれていたので、主人の愛情と、いつか産まれてくる赤ちゃんのことを考えながら、妊娠も出産も乗り切ることができました。

無事に産まれてくれて健康に育った赤ちゃんの姿を見ていると、妊娠や出産はあんなに辛かったのに、また赤ちゃんが欲しいと思えるのが不思議です。

この先、赤ちゃんがどんなに大きくなっても、お腹の中の小さな点を見た時の感動、お腹の中で少しずつ大きくなっていった感動、産まれてきてくれたときの感動、それら全てをずっと忘れないと思います。